鏡視下バンカート修復術・脱臼制動術
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関節の安定は、関節唇(※1)が骨頭に付着している靭帯と複合し、関節窩(※2)の受け皿の容量を大きくすることで安定します。
※1:関節唇…関節窩の縁を取り巻くようについている線維性の軟骨
※2:関節窩…関節のくぼみ大きな外力が加わると、関節窩から関節唇靭帯複合体が剥がれます。この剥がれた病変をバンカート病変、バンカート損傷と呼びます。
ラグビーやアメリカンフットボール選手などのコンタクトスポーツ選手の脱臼では、関節唇靭帯複合体が骨片ごと関節窩からはがれる病変が多くみられます。
これを骨性バンカート損傷、骨性バンカート病変と言います。この病変をもとの位置に修復するのが、鏡視下バンカート修復術・脱臼制動術です。
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左:バンカート病変
右:骨性バンカート病変
手術の手順
1:関節唇靭帯複合体を完全に関節窩から剥がす
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関節唇靭帯複合体を完全に関節窩から剥離します。ラスプという器械で剥がします。
この剥がし方が、手術の成否をきめると言えます。 -
ラスプ
2:アンカーを関節窩に打ち込む
アンカーという糸つきのビスを関節窩に打ち込みます。
当院では骨性バンカートやコンタクトスポーツ選手に対して、アンカーの糸を1本増やして、2本の糸のついたアンカーを2本、ないし3本関節窩に打ち込んで剥がれた靭帯を修復します。(Dual suture法)
アンカーの先は骨の中にはいり、ひっかかりますので、糸を引っ張っても簡単には抜けない仕組みです。
アンカー(糸つきのビス)
アンカーを打ち込んだ状態のイラスト
関節窩にアンカーが2本入った状態
3:剥離した関節唇靭帯複合体を縫い合わせる
糸を関節唇、靭帯複合体に厚くかけ、剥離した関節唇靭帯複合体をもちあげあげながら、縫い合わせます。
関節鏡下ではsliding knotという縫い方でおこないます。
この症例は骨性バンカートの方で、骨に糸をとおす必要があるため、きり状の器械(スーチャーグラスパー)で骨をつきさしてから、糸を骨にとおします。
靭帯をもちあげながら、糸を縫合
糸を骨にとおす
縫合した状態
動画紹介
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