治療事例紹介

投球障害肩

投球障害肩とは、投球動作(野球、バレーボール、ハンドボール、やり投げなど)の際に肩が痛くなったり、
力が入らなくなるなどの症状がでる病気です。

当院では、投球動作は『求心位 (※) が保たれた状態で、なおかつ運動連鎖 (※) による全身運動である』と考えています。

投球障害がおこる理由

  • 長く投げていると身体のゆがみや筋肉が硬くなる。(腰や股関節はすぐに硬くなりやすい)

    投球する上での土台(腰や股関節)が硬くて動かない状態で投げ続けていると、今までより多くの負担が肩にかかる。

    負担のかかる状態で投げることで肩の関節の筋肉、腱、靭帯が損傷する。

    肩の組織が損傷し、肩関節の正常な動きが失われて肩の痛みが生じる。

  • 正常時との負荷の比較

当院での治療

  • 運動療法(9割以上の方)
  • 手術療法(1割強の方。術後にも運動療法が必要です)

当院では、投球動作は『求心位 (※) が保たれた状態で、なおかつ運動連鎖 (※) による全身運動である』と考えています。

※求心位:上腕骨頭が関節窩に正しく収まった状態
※運動連鎖:下半身から骨盤・体幹・胸腰椎・肋骨・肩甲帯・上肢への順に運動が鎖のように繋がった状態

その考えから投球障害肩の原因を、肩関節も含め、肩甲骨・肋骨・体幹・下半身など全身の関節柔軟性・筋力等の運動機能の低下から運動連鎖が上手に機能していないためと捉えています。
そこで、痛みを生じている部位の治療はもちろん、肩関節に負担を掛けない投球動作を獲得することを目標としています。

  • 必要に応じて全身機能評価や運動連鎖評価を実施
  • 評価結果から投球フォームに潜む問題点を見つけ出す
  • 問題点を治療し改善する

また、リハビリテーションをおこなっていく中で、患者さま自身にも自分の問題点を理解してもらい、再発予防の為のセルフチェックができるようになることも目指しています。

治療経過の中でトレーナーと共に患部以外のコンディショニングや体力・筋力維持のトレーニングをおこない、患部を含めた全身のコーディネーションを高める為のトレーニングをおこないながら再発しない投球動作の獲得を目指して治療を進めていき、競技復帰を目指します。

手術をした方の関節鏡所見

  • 関節唇損傷(矢印は損傷した関節唇を指す)

  • 腱板関節面断裂(傷んだ腱板を一部切除)

リハビリテーション・メニュー例

※メニューは1例であり、内容は症状や状態によって異なります

全身機能評価とメニュー

姿勢、筋力、関節可動域、柔軟性、痛み、肩関節の動き等の評価

問題がある場合: 関節可動域訓練(関節の動かす範囲を拡げる訓練)、筋力訓練、ストレッチ等をおこないます。

運動連鎖評価とメニュー

下肢の安定性

重心移動がうまくできているかをチェックします。(例:ステップテスト)

問題がある場合: 股関節の動きをよくしたり、筋力訓練をおこないます。

  • ステップテスト

  • 股関節の動きづくり

  • 股関節周囲の筋力訓練

柔軟性

肩関節の柔軟性だけに頼らず上半身全体で柔軟な動きが行えているかをチェックします。(例:プレアクセラレーションテスト)

問題がある場合: 肩関節周囲の動きづくりや胸椎伸展の動きづくり等を行います。

  • プレアクセラレーションテスト

  • 肩関節周囲の動きづくり

  • 胸椎伸展の動きづくり

ゼロポジション保持

下半身からの運動が肩関節を通って肘からボールを持つ手に伝達する時に肩関節に負担がかからない位置で保持できているかをチェックします。(例:ゼロポジション保持テスト)

問題がある場合: ゼロポジションを保持する為のトレーニングをおこないます。

  • ゼロポジション保持テスト

  • ゼロポジションを保持する為のトレーニング

 

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