治療事例紹介

施設内骨バンク

主に人工股関節全置換術(THA)や人工骨頭置換術の時に、不要になった大腿骨頭を、患者さまの承諾のもとに、捨てずに保存しておきます。これに特殊な処置を加えて、再置換術時に使用します。
このように骨を保存し、再利用することを「骨バンク(ボーンバンク)」といいます。

日本整形外科学会では、冷凍同種保存骨その他の組織を移植に利用できるように、「整形外科移植に関するガイドライン」および、「冷凍ボーンバンクマニュアル」を発行しています。
京都下鴨病院は、これらのガイドラインに則り、施設内で骨バンクをおこなっています。

骨バンクを利用するケース

股関節の手術では、人工股関節の弛みによる人工股関節再置換術(再手術)の時に”骨移植”が必要になります。

人工股関節の弛みが起こると、多くの場合、骨欠損の範囲が広く、再置換術時に自家骨移植(自分の骨)では足りません。
そこで、保存しておいた他人の骨を移植します。これを、”同種保存骨移植”といいます。

人工股関節全置換術を受ける患者さまは、将来、再置換術が必要になる場合があります。この時には保存してある他の患者さまの骨を用いた、同種骨移植が必要になります。
人工股関節全置換術を受ける場合には、ぜひ不要になる骨組織の提供をお願いします。

肩関節の人工関節置換術においても骨移植が必要な場合があります。
そのため、肩関節人工関節置換術を受けられる患者さまに、骨の提供をお願いすることもあります。

骨バンクの利用条件

用語の説明

  • 自家骨移植……自分の他の部位の骨を採骨し、必要な箇所に移植すること
  • 同種骨移植……他人の骨を移植すること
  • ドナー…………移植骨の供給者
  • レシピエント…移植を受ける者

倫理的問題について

  1. 移植骨の採取・保存に関しては、本人および家族に強制しない。
  2. 同意しないことによっていかなる不利益も被らないことを、本人および家族に保証する。
  3. ドナーおよびその家族は、組織を提供することによっていかなる報酬をも得ることはできない。また採取に要する費用を負担する必要はない。

同種骨移植の適応

  1. 自家骨移植や人工骨では対応できない場合。
  2. 自家骨移植や人工骨でも対応できるが、同種骨の使用によってより望ましい結果が期待できる場合。

ドナーの選定基準(必須条件)

  1. HBs抗原、HCV抗体、HIV抗体、HTLV-1抗体および梅毒血清反応が陰性。 (理論的には加温処理や種々の滅菌操作にて、この検査に対応した病原体のうちいくつかを不活化または殺滅することができるが、個々の処理でその効果を正確に検定できる手段がない現状では、いかなる処理を加えるとしても、この条件は必須。)
  2. 悪性腫瘍、結核性感染症および重篤な細菌性感染症に罹患していることを示唆する病歴、身体所見、検査所見がない。

当院での同種保存骨移植の実際

1)骨組織採取

人工股関節全置換術や人工骨頭置換術時に、あらかじめドナーの承諾を得て、本来なら捨ててしまう不要な大腿骨頭などを無菌的に保管しておきます。

2)冷凍保存

  • 採取した骨組織を滅菌下に包装し、-80℃の冷凍庫内に保存します。
    この温度では、最低5年間は保存できるとされています。 -80℃で冷凍することにより、免疫原性が極めて低くなり、移植しても拒絶反応がほとんど起こりません。

     

  • 骨バンク用冷凍庫

3)移植直前の処置

室温にて自然解凍し、手術室にて無菌的に取り出し、抗生物質を入れた滅菌水で十分に洗浄してから使用します。
これにより、最終的な滅菌と、脱脂(余分な脂肪分の除去)がおこなわれます。

 

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