治療事例紹介

人工股関節置換術(THA)

 人工股関節置換術(THA)は、変形性股関節症のために歩行困難など日常生活動作に障害を覚え、痛み止めやリハビリテーションでも疼痛が改善しない場合などに施行されます。

 THAは全身麻酔で1時間半から2時間程度の手術時間で施行されます。関節軟骨がすり減り変形して破壊された大腿骨骨頭を摘出し、骨盤の臼蓋と呼ばれる受け皿にチタン製のソケットをスクリューで固定しその内側に関節軟骨の代わりをする高分子ポリエチレンのライナーを固定します。大腿骨側はチタン製のステムを大腿骨の太さに応じてサイズを選んで挿入します。大腿骨ステムには骨頭が取り付けられ、この骨頭とライナーの間で摩擦少なく可動します。骨盤の臼蓋と大腿骨ともに骨セメントと呼ばれるいわゆる接着剤を使わずにチタン製のインプラントを固定します。チタンの表面に施された特殊な加工により骨とチタンが直接結合するので骨セメントは不要ですが、症例によっては使用する場合もあります。

 手術後は、毎日リハビリをしていきます。松葉杖や歩行器を使用して歩行練習を進め、最終的にはステッキ歩行を行います。原則的に退院後もステッキを使用します。また同時に可動域訓練も行い、術前に動きが硬かった場合には可動域を徐々に広げて柔らかくしていきます。

治療の流れ

 股関節痛のある患者さんは、まず新患外来(月曜日から土曜日の午前、月曜日から金曜日の夜診)を受診してください。問診→診察・レントゲン検査 を受けて診断します。必要であれば、後日MRI検査・CT検査をします。

関節唇損傷・大腿臼蓋インピンジメント・臼蓋形成不全

 変形性股関節症ではなくこれらと診断された場合は、股関節鏡下手術やリハビリテーションの適応となる可能性がありますので、専門医の診察を後日受けてください。

鼠径部痛(鼠径ヘルニア)

 スポーツ障害の一つであるこれらと診断された場合は、多くの場合リハビリテーションの適応となります。スポーツ復帰に向けたリハビリテーションを進めていきます。

変形性股関節症と診断された場合

 関節軟骨のすり減りが僅かで、日常生活の障害が少ない場合は、痛み止めなどの薬物療法やリハビリテーションの適応となります。定期的な診察による経過観察が必要です。悪化した場合は手術が必要となります。

 希望される方は、再生医療の「APS療法」も有効です。保険診療ではない自費診療ですが、患者さんご自身の血液からAPSを作成し、股関節内に注射します。炎症を取り痛みを和らげる作用があります。詳しくは<PRP療法・APS療法>の項目を参照してください。

 変形が中等度から高度で、歩行などの日常生活動作にかなり支障がある場合は、人工関節置換術(THA)の適応となります。CT検査などでさらなる精査を要する場合があります。 手術後に他人の血液による輸血を避けるために、THA術前には自己血輸血のための自己血採血をします。400㏄採血を1-2回します。これを貯血しておき、術後に自己血輸血として戻すわけです。心電図や胸部レントゲンなど必要な術前検査もあらかじめ施行します。

当院のTHA手術実績

 過去8年間のTHAの年次別の症例数をグラフに示します。

 年々増加して、2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行にもかかわらず、症例数を飛躍的に伸ばしています。よい成績を毎年積み重ねてきた結果と喜んでいます。

 

THAの年次別症例数

実際の症例

 67歳の女性で、数年来の左股関節痛があり、最近悪化しました。歩行は10分程度可能ですが、それ以上は痛くて歩けません。階段昇降は手すりにすがらねばならなくなりました。かばって動いているせいなのか、腰も痛くなってきました。

 単純エックス線像では、向かって右側の左股関節に変形が見られます。末期の左変形性股関節症で手術が必要な旨を伝えるとしばらく悩んでいましたが手術を決断しました。

術前単純エックス線像
術前単純エックス線像

 手術は予定通り順調に終わり、術後約1か月間の歩行練習・可動域訓練などのリハビリを施行して、痛みはやわらぎ歩行も楽になり、喜んで退院しました。その後の日常生活も痛みから解放され、趣味の旅行をしているようです。

 術後の単純エックス線像を示します。大腿骨側・骨盤(臼蓋)側ともにチタン製の人工関節のインプラントが骨セメントを使用すること無く固定されています。

左THA術後の単純エックス線像

 

 股関節の痛みでお悩みの方は、このような優れた方法があります。お気軽にご相談ください。

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