治療事例紹介

肩関節脱臼および反復性肩関節脱臼のリハビリテーション

初めての脱臼や、損傷部位が少ない場合、まずは保存療法にて治療をおこないます。

投球障害肩についてはページ下部をご覧ください。

保存療法の場合

受傷後

三角巾とバストバンドにて肩関節を固定(3週間前後)
初回脱臼の時、外旋位固定する場合もあります。

※安静にして傷めた筋肉や靭帯の修復に努めますので、肩・腕は基本的に使わないようにします。

受傷後4週目

固定を外し、リハビリテーションを開始。
セラピストによる肩関節可動域訓練(肩関節の動かす範囲を拡げる訓練)
肩甲骨周囲筋や腱板の筋力強化訓練

※求心位を保つことを意識しながら進めていきます。
※肩関節以外の肩甲骨の動き、体幹や下半身の柔軟性や筋力をチェックし必要に応じて同時に治療、トレーニングしていきます。

受傷後12週目

各競技にあわせての関節可動域訓練や筋力強化訓練

※徐々に日常生活や仕事、スポーツ競技での制限をなくしていく。
※トレーナーと共に全身的にトレーニングを進めていき、復帰を目指します。

 

保存療法にて痛みや不安定感の改善がみられない場合や、これまでに脱臼を繰り返して反復性肩関節脱臼になっている場合は、手術療法の適応となります。

例として反復性肩関節前方脱臼に対しておこなわれる鏡視下Bankart(バンカート)修復術があります。

手術療法の場合

鏡視下Bankart(バンカート)修復術後のリハビリテーションと、鏡視下腱板修復術後のリハビリテーションについてご紹介します。
※術後スケジュールの1例であり、脱臼方向や損傷部位などの状態により実際の治療内容は異なります。

鏡視下Bankart(バンカート)修復術後のリハビリテーション

術前

装具装着の仕方、衣服の着方、入浴方法などの指導をします。

  • 筋力測定(マイクロFET・状態に応じてCybex)
  • マイクロFET

  • Cybex

術後1日目

終日、下垂位外転装具で肩関節を固定(約3週間)
肘以遠の運動は可能です。

  • 肩関節とその周囲のリラクゼーション(マッサージチェアにて)
  • セラピストによる肩関節可動域訓練(肩関節の動かす範囲を拡げる訓練)
  • アイシング

※手術した方の肩・腕は基本的には使わないようにします。
※肩関節以外の肩甲骨の動き、体幹や下半身の柔軟性や筋力をチェックし、必要に応じて同時に治療、トレーニングしていきます。
※スポーツ復帰が目標の場合、体調に合わせて患部以外のトレーニングを進めていきます。

  • 下垂位外転装具

  • アイシング

術後4週目

装具固定を外して、三角巾へ変更(約1~2週間)

  • 肩関節可動域訓練(UBE、サンディング、振り子運動)

※肘を机について支えた状態での書字(サイン程度)や食事、着替え、入浴の動作が可能となります。三角巾を外す許可が出れば、肘をつかなくてもよくなります。

  • UBE

  • サンディング

  • 振り子運動

術後6週目

    • 自力での肩関節可動域訓練(仰向けでの肩体操)
    • 筋力訓練

    ※自転車や車の運転が条件付で可能となります。(リスクがないわけではないので条件については医師に確認してください。)両手で物を持つことも可能となります。

  • 仰向けでの肩体操

術後8週目

    • 自力での肩関節可動域訓練(UBE、座った姿勢での肩体操)
    • 筋力訓練

    ※手術した側の手で軽い物であれば持つことが出来るようになります。問題なければ、簡単な家事動作(例:洗い物・料理等)も可能です。

  • 座った姿勢での肩体操

術後10週目

    • プーリー(滑車運動)
  • プーリー

術後12週目

  • セラバンドを用いた筋力訓練

※自転車・車の運転が可能な時期です。
※スポーツ競技への復帰へ向け、本格的に競技に合わせたトレーニングに移っていきます。

  • セラバンド(外旋)

  • セラバンド(外転)

  • セラバンド(内旋)

鏡視下腱板修復術後のリハビリテーション

術前

装具装着の仕方、衣服の着方、入浴方法などの指導をします。

  • 筋力測定( Cybex もしくはマイクロFET)
  • Cybex

  • マイクロFET

術後1日め

装具にて肩関節を固定(約3週間)

  • アイシング
  • セラピストによる肩関節可動域訓練(愛護的に行います。)
  • 肩関節リラクゼーション

※手術した方の肩・腕は基本的に使わないようにします。

  • 装具

  • アイシング

 

術後4週目

固定を外し、三角巾を装着(約2週間)

  • 肩関節可動域訓練(UBE・サンディング・振り子運動)

※肘を机について支えた状態での書字(サイン程度)や食事、着替え、入浴の動作が可能となります。三角巾を外す許可が出れば、肘をつかなくてもよくなります。

  • UBE

  • サンディング

  • 振り子運動

術後6週目

    • 自力での肩関節可動域訓練(仰向けでの肩体操)
    • 筋力訓練

    ※自転車や車の運転が条件付で可能となります。(リスクがないわけではないので条件については医師に確認してください。)両手で物を持つことも可能となります。

  • 仰向けでの肩体操

術後8週目

    • 自力での肩関節可動域訓練(UBE、座った姿勢での肩体操)
    • 筋力訓練

    ※手術した側の手で軽い物であれば持つことが出来るようになります。問題なければ、簡単な家事動作(例:洗い物・料理等)も可能です。

  • 座った姿勢での肩体操

術後10週目

    • プーリー(滑車運動)
  • プーリー

術後12週目

  • セラバンドを用いた筋力訓練

※自転車・車の運転が可能です。
※スポーツ競技への復帰へ向け、本格的に競技に合わせたトレーニングに移っていきます。

  • セラバンド(外旋)

  • セラバンド(外転)

  • セラバンド(内旋)

投球障害肩の場合

当院では投球障害肩の原因を、肩関節も含め、肩甲骨・肋骨・体幹・下半身など全身の関節柔軟性・筋力等の運動機能の低下から運動連鎖が上手に機能していないためと捉えています。

そこで、痛みを生じている部位の治療はもちろん、必要に応じて、全身機能評価や運動連鎖評価をおこなってリハビリにあたっています。患部を含めた全身のコーディネーションを高める為のトレーニングをおこないながら再発しない投球動作の獲得を目指して治療を進めていき、競技復帰を目指します。

詳しくは投球障害肩の治療事例をご覧ください。

 

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    例)鏡視下腱板修復術、鏡視下バンカート修復術等